【獣医師監修】犬の病気とオーナーによる健康管理の重要性:愛犬の健康を守るための完全ガイド

犬 病気

犬の健康維持には、さまざまな病気への理解と予防が欠かせません。犬は人間と同様に、多くの疾患に罹患する可能性がありますが、適切なケアと早期発見によって多くの問題を未然に防ぐことが可能です。

一般的な犬の病気には、遺伝性疾患、感染症、慢性病、外傷などが含まれます。これらの病気は犬種や年齢、生活環境によってリスクが異なるため、オーナーは愛犬の特性に応じた健康管理を行うことが重要です。 すべての疾患が予防できるわけではありませんが、中には適切な予防を行うことにより、愛犬を病気から守れるものも多くあります。

本コラムでは、犬に多く見られる代表的な病気の一部とオーナーができるケア、予防方法について詳しく解説します。

監修獣医師

川本 紗弓
川本 紗弓
獣医師・ペット栄養管理士

日本大学 生物資源科学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務した経験を経て、毎日の食事が犬猫の健康に大きな影響を与えることに気が付き、栄養学の道に進む。専門は犬猫だが、鳥も大好きで、家族のシニアインコを溺愛。

犬の健康管理の重要性

犬の健康管理の重要性

愛犬の健康管理は、オーナーにとって最も重要な責任の一つです。犬は家族の一員として、長い間共に生活する存在であり、その健康状態はオーナーの生活の質にも大きく影響します。適切な健康管理を行うことで、犬の寿命を延ばし、快適で幸福な生活を送ることが可能となります。

健康管理の重要性は以下の点に集約されます。 早期発見と治療の促進: 定期的な健康チェックにより、病気の早期発見が可能になります。早期に問題を発見することで、治療の成功率が高まり、犬の苦痛を軽減することができます。

予防の効果: ワクチン接種や定期的な予防措置を講じることで、多くの感染症や慢性疾患を未然に防いだり症状を軽減させたりすることが期待できます。予防は治療に比べてコストや負担が少なく、長期的な健康維持に寄与します。

生活の質の向上: 健康な状態を維持することで、犬は活発に動き回り、遊びや運動を楽しむことができます。これにより、精神的にも安定し、ストレスの少ない生活を送ることができます。

犬の病気を早期発見したり、予防したりするためには、オーナーによるケアやこの症状は病気かも?と気が付ける知識をつけておくことが非常に重要になってきます。犬が受診する頻度が高い疾患の一部について、オーナーが日頃から愛犬にしてあげられることも含めて以下に詳しく説明します。

病気一覧:外耳炎、アレルギー、膵炎、下痢、てんかん、尿石症,皮膚病、肥満

外耳炎

外耳炎

外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜までの外耳に炎症が起きた状態を指します。

犬は外耳道の構造に特徴があることと、耳が垂れていたり毛が密に生えていたりする場合も多く、通気性が悪くなりやすいことから外耳炎になりやすいとされています。アメリカン・コッカー・スパニエル、キャバリア・キング・チャールズスパニエルやシーズーなどは耳の疾患が多い犬種です。

オーナーができる予防法としては、まず耳を2週間に1回程度の間隔で定期的に確認し、清潔にすることです。汚れや臭いがなければ定期的なチェックのみで終わらせても問題ありませんが、汚れがある場合は専用の洗浄液などを使い、綺麗にしてあげてください。

垂れ耳の犬や皮膚が脂っぽい犬は耳が汚れやすい傾向にありますので、より注意してみる必要があります。

より詳しく外耳炎の原因と予防方法について知りたい方は、以下の記事を参照ください。

アレルギー

アレルギー

アレルギーとは、アレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)から身体を守る免疫の過剰反応によって起こる反応になります。アレルゲンは食べ物や環境中のもの(ハウスダスト、ノミ、ダニ、花粉 等)などが当てはまります。

犬のアレルギー疾患は多くあり、臨床現場で多く見られる疾患としては

  • ・アトピー性皮膚炎・・・1歳~3歳未満の犬に発症することが多く、耳、目、口の周り、四肢端、腋窩部や大腿内部などに非常に強い痒みがでて、搔きむしったり舐め壊したりして皮膚がボロボロの状態になってしまっている犬も見られます。
  • ・食物アレルギー・・・摂取した食べ物のタンパク質に対するアレルギー反応のことを指します。犬の主なアレルゲンとしては牛肉、乳製品、小麦などが多く報告されています。
  • ・ノミアレルギー性皮膚炎・・・ノミによるアレルギー反応は、昆虫が関与するアレルギーの中でも臨床現場で最もよく遭遇します。症状としては尾部、大腿部、鼠径部などに痒みを伴う皮疹が見られます。

下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などアレルギーを疑う症状が見られたら、まずはかかりつけの動物病院を受診することをおすすめします。

より詳しくアレルギー疾患の原因と予防方法について知りたい方は、以下の記事を参照ください。

膵炎

膵炎

膵炎はこの膵臓に炎症が起こる病気で、急性膵炎と慢性膵炎に分類されます。急性膵炎とは消化酵素が何らかの原因で分泌前に活性化されることで、膵臓が食べ物ではなく自身の組織を消化してしまい障害を起こした状態を指します。

犬の膵炎はどの犬種においても報告されており、はっきりとして原因はわかっていませんが、以下に記載したことが発症のリスクとなることは明らかになっています。 ・遺伝(犬種) ・肥満 ・高脂肪食 ・年齢や病気

どの犬にも膵炎発症のリスクがある一方で、適正体重の維持や低脂肪食の給餌といった、発症や再発防止のためにできることがあります。

より詳しく膵炎の原因と予防方法について知りたい方は、以下の記事を参照ください。

下痢

下痢

下痢とは水分を多く含んだ多量の排便がある状態のことを指し、大腸性の下痢と小腸性の下痢に分類することができます。

小腸性の下痢では便の形があるものから水様便まで様々で、頻度は変わらない場合が多いものの、量が増えるのが特徴です。消化された血液が便として排出される黒色のメレナ(タール状の便)や消化・吸収不良の際は白い脂肪便が見られることもあります。

大腸性の下痢ではゼリー様の粘膜を含む軟便であることが多く、頻回になるのが特徴です。犬ではしぶりと呼ばれる排便姿勢をとっても便がでない状態が見られたり、鮮血便が見られたりすることもあります。

犬の下痢は予防できないイメージがあるかもしれませんが、フードの切り替えによるものや、誤食の防止など、回避することができることもあります。

より詳しく下痢の原因と予防方法について知りたい方は、以下の記事を参照ください。

てんかん

てんかん

犬のてんかんは、脳の神経細胞が過剰に活動することで、発作が繰り返し起こる病気です。通常、脳の神経細胞は規則正しいリズムを保ちながら、電気的に活動しています。しかし、なんらかの原因で電気信号が乱れてしまうと脳が過剰に興奮し、けいれんや意識障害などを引き起こします。

てんかんの症状は犬によって異なり、意識を失う大きなものから体の一部だけに現れる小さなものまであります。すぐに発作と分からない症状もあるため、普段からよく様子をみておきましょう。

犬のてんかん発作を予防するには抗てんかん薬が有効ですが、残念ながら発症を完全になくすことはできません。発作の頻度をできるだけ少なくするには、発症のきっかけをなるべく作らないよう、日常生活を工夫することが大切です。

より詳しくてんかんの原因と予防方法について知りたい方は、以下の記事を参照ください。

尿石症

尿石症

尿石症とは、尿中のミネラル成分が結晶化し、腎臓や尿管、膀胱、尿道に結石ができる病気です。

結石が存在する部位によって、「腎結石」「膀胱結石」「尿管結石」「尿道結石」と疾患名は変わりますが、いずれも結石が原因でさまざまな症状を引き起こします。

尿石症の症状は、結石ができた場所によって異なります。 腎臓結石の場合、痛みはほとんどなく無症状の場合が多いでしょう。ただし、腎臓のなかで大きくなりすぎてしまうと腎機能が低下し、腎不全を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

また、結石が尿路に詰まると尿が出せなくなり、膀胱破裂や腎機能障害、尿毒症によって重篤な状態になる可能性もあるため、早急な治療が必要です。

犬の尿石症を予防するには、水分を十分摂取させたり、栄養バランスの良いフードを与えたりと生活習慣や食事に気を付けることが大切です。尿石症は一度発症すると何度も繰り返す可能性が高いため、日頃から予防を心がけましょう。

より詳しく尿石症の原因と予防方法について知りたい方は、以下の記事を参照ください。

皮膚病

皮膚病

犬の皮膚病には多くの種類がありますが、その中で代表的なものとして以下の8つがあります。

  • 膿皮症(ノウヒショウ)
  • アトピー性皮膚炎
  • 脂漏症(シロウショウ)
  • マラセチア性皮膚炎
  • 皮膚糸状菌症|皮膚糸状菌
  • 毛包虫症(モウホウチュウショウ)|ニキビダニ・アカラス
  • 疥癬(カイセン)|ヒゼンダニ
  • 食物アレルギー

こうした皮膚病の症状は原因や犬種、年齢 などによって異なります。フケや軽い赤み程度であれば、普段と変わらず生活できることもありますが、なかには激しい痛みやかゆみをともなうこともあるため注意が必要です。

犬の皮膚病を予防するには、適切なスキンケアと環境整備が必要です。定期的なシャンプーやブラッシングで皮膚を清潔に保ち、愛犬の皮膚バリアを整えてあげましょう。

さらに、虫が活発に活動する時期は必ず予防薬を投与して、愛犬を寄生虫から守ることも大切です。犬が生活する部屋は常に快適な温度・湿度を維持するようにし、細菌や真菌が繁殖しにくい環境を保ちましょう。なお、健やかな皮膚を保つためには、栄養バランスの整った食事が欠かせません。

肥満

肥満

犬の肥満は糖尿病や心臓病、皮膚病、関節炎、呼吸器疾患など、さまざまな病気を引き起こす可能性があります。また、アメリカ・ネスレリサーチセンターの調査によると「肥満の犬と適正体重の犬とでは寿命に2年近くの差がある」とされていることから、太っている犬ほど短命の傾向があるといえるでしょう。

犬の中には、遺伝的に太りやすく体重管理がしづらい犬種もいます。特に、ゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバー、コッカー・スパニエル、ブルドッグ、ジャック・ラッセル・テリア、バセットハウンドは肥満に注意しましょう。

肥満にならないためには日々の体重管理が大切です。さまざまな病気のリスクを防ぐためにも、ぜひ今日できることから始めましょう。

より詳しく犬の体重管理について知りたい方は、以下の記事を参照ください。

オーナーができるチェックポイント

オーナーができるチェックポイント

多くの犬の健康問題は、早期に発見し治療を開始することで改善が期待できます。オーナーの方々は、日常的に愛犬の状態を観察し、しっかりと健康管理を行いましょう。以下のポイントに特に注意を払ってみてください。

  • 目の状態: 瞳がしっとりとしているか、目やにが出ていないか、また眼球が曇っていないかを確認しましょう。
  • 耳のケア: 耳垢の有無、異臭の発生、かゆみの兆候がないかをチェックしてください。
  • 鼻の健康: 鼻が乾燥していないか、血が混じった鼻水が出ていないかを観察しましょう。
  • 口腔ケア: 口臭の強さや歯茎の色に異常がないか確認します。
  • 皮膚の状態: 脱毛箇所やしこりがないか、皮膚に異常が見られないかを見てください。
  • 歩行の様子: 普段と異なる歩き方をしていないか、動きに違和感がないかを注意深く観察しましょう。

これらは日々のケアの中で特に気を付けたいチェックポイントです。愛犬と常に一緒に生活しているオーナーであれば、わずかな変化にも気づきやすいはずです。「いつもと違うな」と感じた時は、再度これらの項目を確認してみてください。

さらに、これらのチェックポイントに該当しなくても、なんとなく愛犬の様子がいつもと違うと感じた場合は、早めに獣医師に相談することを推奨します。早期の対応が愛犬の健康維持に繋がりますので、積極的な健康管理を心がけましょう。

続けやすく、美味しい食事療法食

続けやすく、美味しい食事療法食

動物病院を受診すると、獣医師から「療法食」が必要と診断されることがあります。

療法食とは、特定の病気や健康状態に合わせて作られたドッグフードのことです。一般的なドッグフードと違い、療法食は製品ごとに栄養成分の量や比率が特別に調整されています。そのため、継続して与えることで健康状態の維持や病気の進行を遅らせるサポートが期待できます。

犬用の療法食をお探しなら、ぜひSANIMED(サニメド)をご検討ください。サニメドはヨーロッパを始め、世界中で愛用されている療法食ブランドです。

フードはすべて最新の栄養学に基づいてレシピを組んでおり、安全性が高い原材料を使用しています。人工添加物不使用のため、継続的に与える際も安心です。

まずはお気軽に、かかりつけの動物病院にて「サニメドに興味がある」旨をお伝えください。