犬の皮膚病の症状は?主な原因や予防法、治療法を解説

私たち人間に比べて、犬の皮膚はとても薄くデリケートです。そのぶん豊富な被毛に覆われてはいますが、そのせいで通気性が悪くなり、皮膚トラブルを起こす犬も少なくありません。

愛犬の皮膚を健康に保つためには、なぜ皮膚病になるのか、どんな予防法があるのかを把握しておくことが大切です。

本記事では犬の皮膚病の症状や代表的な病気、治療法や予防法について解説します。愛犬の皮膚に不安がある方はぜひ参考にしてください。

監修獣医師

高橋 宏実
獣医師・ペット栄養管理士

麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。

犬の皮膚病の主な症状|皮膚病のサイン

犬の皮膚病

皮膚病の犬にみられるサインは以下の通りです。

  • かゆがる
  • 毛が抜ける
  • フケが出る
  • 臭いがする
  • 皮膚が黒ずむ
  • 赤い発疹が出る
  • 皮膚や毛がベタつく
  • 膿胞(のうほう)やかさぶたができる

皮膚病の症状は原因や犬種、年齢 などによって異なります。

フケや軽い赤み程度であれば、普段と変わらず生活できることもありますが、なかには激しい痛みやかゆみをともなうこともあるため注意が必要です。

犬の皮膚病を引き起こす主な原因5つ

犬の皮膚病を引き起こす主な原因5つ

犬の皮膚病の原因は多岐にわたりますが、代表的なものとして以下が挙げられます。

  • 1.細菌・真菌
  • 2.害虫・寄生虫
  • 3.ストレス
  • 4.アレルギー
  • 5.高温多湿・乾燥

犬の皮膚病の原因になりうる要因について次の項目から詳しく解説します。

細菌・真菌

細菌・真菌に感染すると犬は皮膚病を起こします。

細菌・真菌にはブドウ球菌やマラセチア菌など犬の皮膚にもとから生息している「常在菌」と、皮膚糸状菌など外部から侵入した菌がありますが、皮膚バリア機能や免疫機能が正常に働いている間は脅威ではありません。

しかし、なんらかの理由でバリア機能や免疫機能が弱まってしまうと、皮膚上の細菌・真菌が増殖し、皮膚病を引き起こします。

害虫・寄生虫

害虫・寄生虫に刺されたり、寄生されたりすると発症する皮膚病もあります。

原因となる虫はノミ・シラミ、ヒゼンダニ、毛包虫(モウホウチュウ)、マダニなどです。虫による皮膚病は強いかゆみをともなうものが多く、犬に大きな負担がかかります。

なお、害虫・寄生虫は暖かい時期に活発化しますが、近年は冬でも暖かい日が多く、エアコンなどで常に快適な室温が保たれているため、一年中注意が必要です。

ストレス

ストレスは自律神経の乱れを招き、皮膚のバリア機能や免疫力を低下させます。運動不足やスキンシップ不足、環境の変化や同居動物との不仲など、犬のストレスになる要因は少なくありません。

また、犬自身の行動が原因で皮膚病を起こすこともあります。ストレスを和らげようと体や手足をなめ続けた結果、皮膚に炎症が起こるという悪循環も多いでしょう。

アレルギー

花粉・食べ物・紫外線・ハウスダストなど、特定の異物に対して免疫機能が過剰に反応すると、皮膚のかゆみや赤みなどが現れます。

アレルギーが原因で発症する皮膚病は主に「アトピー性皮膚炎」と「食物アレルギー」に分類され、完治はできません。ただし、できる限り症状が出ないよう、病気と上手に付き合っていくことができれば、健康な犬と同じ生活が可能です。

高温多湿・乾燥

気温が高くジメジメした環境は、皮膚の蒸れや細菌繁殖につながります。特に夏場は湿度が高く、皮膚トラブルが起こりやすい時期といえるでしょう。

一方、湿度が低すぎるのも問題です。乾燥した場所では皮膚の水分が蒸発しやすくなり、バリア機能が低下します。その結果、外部からの細菌や刺激に耐えられず、皮膚病を起こします。

犬がかかりやすい代表的な8つの皮膚病

皮膚病

犬の皮膚病には多くの種類がありますが、その中で代表的なものとして以下8つをご紹介します。

  • 1.膿皮症(ノウヒショウ)
  • 2.アトピー性皮膚炎
  • 3.脂漏症(シロウショウ)
  • 4.マラセチア性皮膚炎
  • 5.皮膚糸状菌症|皮膚糸状菌
  • 6.毛包虫症(モウホウチュウショウ)|ニキビダニ・アカラス
  • 7.疥癬(カイセン)|ヒゼンダニ
  • 8.食物アレルギー

膿皮症(ノウヒショウ)

主に黄色ブドウ球菌の異常増殖による皮膚病で、皮膚のバリア機能や免疫力の低下によって発症します。

丘疹という小さな赤い湿疹や、ニキビのような膿疱などができることがあります。また、かゆみ、脱毛、黄色いフケなどもみられます。

症状は全身にみられますが、特に指間部や脇、鼠径部 に出ることが多いです。

アトピー性皮膚炎

花粉やダニ、ハウスダスト、カビなどに対する過剰なアレルギー反応の獲得、およびそれに対する過剰な反応が皮膚に起こり、皮膚炎へ繋がるとされています。

多くは生後半年から3歳までの若い時期に発症し、顔や足先、お腹、脇、内股、肛門周りに強いかゆみや赤み、脱毛や色素沈着、表皮の肥厚がみられます。

体の免疫反応による皮膚病であるため、完治はできませんが、できる限り症状が出ないようコントロールすることは可能です。

脂漏症(シロウショウ)

皮膚のターンオーバーが短くなり、皮脂が過剰に分泌されたり、細胞が通常より早く剥がれ落ちたりする皮膚病です。

脂漏症には油性脂漏症と乾性脂漏症の2つがあり、それぞれ症状が異なります。油性脂漏症では、皮膚や被毛のベタつきや独特の臭い、かさぶたが生じます。

一方、乾性脂漏症は皮膚の乾燥、フケが中心ですが、どちらもマラセチア性皮膚炎や外耳炎を併発することが多く、強いかゆみをともないます。

マラセチア性皮膚炎

常在真菌「マラセチア」の異常増殖によって発症する皮膚病です。

発症すると、耳や口周り、あご、脇などに強いかゆみが現れ、ベタつきや独特な臭いを生じます。

なお、マラセチア菌はカビの一種ですが、健康な犬の皮膚にも存在します。皮膚バリアが弱ることで異常に増殖するため、脂漏症の犬や免疫力が落ちた犬は特に注意が必要です。

皮膚糸状菌症|皮膚糸状菌

カビの一種である皮膚糸状菌が原因で起こる皮膚病です。

感染すると、ニキビのような白い発疹やドーナツ型の赤い発疹、脱毛、フケ、かゆみなどが現れます。

症状は全身どこにでもみられますが、犬では菌に接触しやすい顔や四肢から現れることが多いです。皮膚糸状菌は人や他の動物にも感染するため、感染犬の隔離と徹底した掃除・洗濯が必要です。

毛包虫症(モウホウチュウショウ)|ニキビダニ・アカラス

毛穴に生息するニキビダニによる皮膚病で、主に目や口の周囲、前足に発疹や脱毛、赤みなどがみられます。

かゆみはほとんどありませんが、細菌や他の寄生虫に感染すると、かゆみが強くなる傾向があります。

なお、毛包虫は子犬期に母犬から感染するケースが多い一方で、皮膚バリアが未熟な幼犬や免疫力の落ちた成犬・老犬もかかりやすいといわれています。

疥癬(カイセン)|ヒゼンダニ

ヒゼンダニの寄生によって発症する皮膚病で、人にも感染します。

疥癬には、多数のヒゼンダニの寄生によって起こる角化型疥癬と、ヒゼンダニに対するアレルギー反応である通常疥癬とがありますが、症状は大きく変わりません。

いずれも腹部や肘、耳のフチ、顔などに赤み、大量の硬いフケをともない、夜も眠れないほど強いかゆみが生じます。

食物アレルギー

特定の食べ物に対する過剰な免疫反応が原因で、皮膚症状や消化器症状を起こす病気です。

主な症状は、嘔吐や下痢、顔や手足、内股、背中などのかゆみですが、原因となる食べ物を摂取しなければ普段通り生活できます。

なお、食べ物に触れる口周りは症状が出やすく、床に口をこすりつけるなどの仕草が頻繁にみられます。

皮膚病にかかりやすい犬種

皮膚病にかかりやすい犬種

個体差はありますが、以下の犬種は皮膚病にかかりやすい傾向があります。

  • パグ
  • 柴犬
  • シー・ズー
  • キャバリア
  • フレンチ・ブルドッグ
  • コッカー・スパニエル
  • ゴールデン・レトリーバー
  • ウエスト・ハイランド・ホワイテリア

生まれつき皮膚が脂っぽい犬種やアレルギー体質の犬種は皮膚病にかかりやすいといえます。また、パグやフレンチ・ブルドッグなど短頭種の場合、顔のシワに汚れが溜まりやすく、細菌繁殖によって皮膚病を引き起こすケースが多いでしょう。

そのほか、皮膚のバリア機能が未熟な子犬や免疫力が落ちた老犬も皮膚病にかかりやすいため、注意が必要です。

犬の皮膚病の主な治療法

犬の皮膚病の主な治療法

犬の皮膚病の治療は、原因や症状に合ったものを行います。皮膚病は完治まで時間がかかるものも多く、自宅でのケアも欠かせません。

ここでは、犬の皮膚病の主な治療法を3つに分けて解説します。

薬の投与(内服・外用)

膿皮症やマラセチア性皮膚炎など、細菌や真菌が原因の皮膚病は、抗生剤や抗真菌薬で治療します。

かゆみが強い場合は、かゆみ止めやステロイド薬が処方される場合もあるでしょう。

犬がなめにくい場所の感染や症状部位が狭い場合は、外用薬(塗り薬)を使用することもあります。また、ニキビダニやヒゼンダニなどの感染症には、駆虫薬の投与が有効です。

薬用シャンプーによる薬浴

皮膚や菌に作用する薬剤が入ったシャンプーによる洗浄を「薬浴」といいます。

犬の薬用シャンプーには、抗菌性・保湿性・止痒性・角質溶解性などさまざまなものがあり、それぞれ期待できる効果が異なります。

最適なシャンプーの種類・薬浴の頻度は症状によって異なるため、獣医師の指導下で選択・使用しましょう。

療法食による食事療法

食物アレルギーや皮膚病に配慮した療法食を与え、症状の改善をはかります。

皮膚・被毛の健康をサポートしてくれる栄養素には、炎症を抑えるオメガ3脂肪酸や皮膚のバリア機能をサポートするオメガ6脂肪酸などの不飽和脂肪酸、抗酸化作用のあるポリフェノールなどがありますが、これらは犬の体内で合成することができないため、食事から摂取しなければいけません。

療法食にはこれらの栄養素がバランスよく含まれており、健康的な皮膚・被毛を内側からサポートしてくれます。

犬の皮膚病の予防方法

犬の皮膚病の予防方法

犬の皮膚病を予防するには、適切なスキンケアと環境整備が必要です。定期的なシャンプーやブラッシングで皮膚を清潔に保ち、愛犬の皮膚バリアを整えてあげましょう。

さらに、虫が活発に活動する時期は必ず予防薬を投与して、愛犬を寄生虫から守ることも大切です。犬が生活する部屋は常に快適な温度・湿度を維持するようにし、細菌や真菌が繁殖しにくい環境を保ちましょう。

なお、健やかな皮膚を保つためには、栄養バランスの整った食事が欠かせません。私たち人間と同じく、犬も食べたもので体が作られます。愛犬の皮膚に不安がある場合は、皮膚によい栄養素を含むドッグフードを与えるとよいでしょう。

大切な家族の一員である愛犬のための特別なドッグフード

愛犬のための特別なドッグフード

犬の皮膚はとてもデリケートなため、些細なことでトラブルが生じます。日頃から愛犬の様子をよく観察し、皮膚病の予防や早期発見に努めましょう。

愛犬の皮膚トラブルにお悩みなら、サニメドの「ハイドロライズドプロテイン」をお試しください。

ハイドロライズドプロテインは、食物アレルギーによる皮膚炎や消化器症状を抱える犬たちのために作られた、特別なドッグフードです。

グルテンフリーであり、原料に加水分解タンパク質(フィッシュ)を使用することでアレルギーを起こしにくくし、スムーズな消化吸収を実現。また、オメガ3脂肪酸を豊富に含むサーモンオイルと亜麻仁油を配合しています。

さらに、オメガ6脂肪酸の中でも皮膚炎への治療効果が期待されているγ-リノレン酸を含むボラージオイルもバランスよく配合しており、皮膚・被毛の健康を内側からサポートします。

給与は獣医師の診断と指導の下で行っていただくため、まずはお気軽に、かかりつけの動物病院で「ハイドロライズドプロテインに興味がある」旨をお伝えください。

サニメド犬用ハイドロライズドプロテイン
動物病院専売 療法食 サニメド

SANIMED

犬用ハイドロライズドプロテイン

食物アレルギーによる皮膚疾患および消化器疾患の犬に給与することを目的として、加水分解タンパク質を使用し、EPA/γリノレン酸を配合した食事です。