犬の療法食とは?主な種類と与える際の注意点、食べないときの対処法

犬の療法食

動物病院を受診すると、獣医師から「療法食」が必要と診断されることがあります。療法食は一般的なフードとは異なる特徴を持っており、適切な取り扱いが必要です。

本記事では、犬の療法食についてペットオーナーさんが正しく理解できるよう、犬の療法食の目的や特徴、主な種類や与える際の注意点について解説します。犬が療法食を食べないときの対処法も解説しているため、療法食の食いつきに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

監修獣医師

高橋 宏実
獣医師・ペット栄養管理士

麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。

犬の療法食とは

犬の療法食とは

療法食とは、特定の病気や健康状態に合わせて作られたドッグフードのことです。一般的なドッグフードと違い、療法食は製品ごとに栄養成分の量や比率が特別に調整されています。そのため、継続して与えることで健康状態の維持や病気の進行を遅らせるサポートが期待できるでしょう。

療法食にはさまざまな種類がありますが、いずれも獣医師の診断・指導に基づいた給与が推奨されています。自己判断で誤った与え方をすると、かえって犬の健康を害する可能性もあるため、扱いには十分に注意しましょう。

療法食と機能性ドッグフードは異なる

パッケージに「○○に配慮」や「○○サポート」などの記載があるドッグフードを、機能性ドッグフードといいます。機能性ドッグフードには、ペットの健康管理に役立つプレバイオティクスやオメガ3脂肪酸などの成分が添加されており、栄養面のサポートをしてくれます。

機能性ドッグフードは一見療法食と同じ効果があるように思えるかもしれませんが、療法食と比べると「治療補助や再発防止のサポートを目的とした役割」が弱いものもあるため、代用することはできません。

犬の療法食の主な種類7つ

犬の療法食の主な種類7つ

犬の療法食は、製品ごとに対象の病気や特徴が異なります。療法食の有用性を最大限発揮させるためにも、適切な種類の療法食を与えましょう。各療法食の栄養組成はメーカーによって異なりますが、ここでは主な療法食の種類7つとその特徴について解説します。

種類①消化器疾患用

消化器疾患用の療法食は、消化器疾患の犬に与えることを目的として、高消化性の食材を使用しています。また、食物繊維を増強し脂肪の量を制限することで、消化器症状の改善のサポートを図ります。

なお、消化器疾患用の療法食はミネラルやビタミン量が高めに設定されており、下痢や嘔吐による電解質の不足を補ってくれるでしょう。

種類②腎臓疾患用

腎臓疾患用の療法食は、腎臓疾患の犬に与えることを目的として、リンとタンパク質を制限しています。

また、高血圧や酸化ストレスを減らすオメガ3脂肪酸を配合し、腎臓の負担を軽減します。窒素含有成分の吸収を低減させて、腎臓病の進行抑制を目指す治療のサポートをします。腎臓病が進行すると食欲が低下しやすいため、嗜好性にこだわった製品も多いでしょう。

種類③心臓疾患用

心臓疾患用の療法食は、心臓疾患の犬に与えることを目的として、ナトリウムの含有量を制限しています。その他、ビタミンB群やタウリン、カルニチンなどを配合し、心臓をサポートします。

心臓疾患用の療法食は、病気の進行段階に合わせてより適切な栄養素を摂取できるよう、初期と進行時で2つのラインナップが用意されている場合が多いのが特徴です。

種類④皮膚疾患用

皮膚疾患用の療法食は、皮膚疾患の犬に与えることを目的として、皮膚・被毛の健康維持に役立つオメガ3脂肪酸やビタミン類を多く配合しています。

タンパク質は食物アレルギーによる皮膚炎に配慮し、犬のアレルゲンになりにくいものを使用しています。スムーズな栄養吸収をサポートすることで、皮膚バリアの維持や皮膚炎の治療の補助の役割を担います。

種類⑤アレルギー用

アレルギー用の療法食は、食物アレルギーや食物不耐症の犬に与えることを目的として、加水分解タンパクや新奇タンパク質、精製したアミノ酸類などを使用しています。

徹底した製造管理によって、アレルゲンの混入も予防。食物アレルギーによる皮膚炎に配慮し、オメガ3脂肪酸・オメガ6脂肪酸のバランスを調整しています。

種類⑥下部尿路疾患用

下部尿路疾患用の療法食は、尿石症の治療・再発防止のサポートが必要な犬に与えることを目的として、ミネラルやタンパク質を制限しています。尿石症の原因となる結石には複数の種類がありますが、いずれもミネラルが固まって形成されます。

なお、下部尿路疾患用の療法食には結石溶解用のものと再発防止用のものとがあるため、犬に与える際は適したものを選択することが大切です。

種類⑦肥満・体重管理用

肥満・体重管理用の療法食は、体重管理が必要な犬に与えることを目的として、エネルギー量を制限しています。

低脂肪・高繊維なため少量でも満腹感を保ちやすく、満足感があるのが特徴です。食欲旺盛な犬でも、ストレスがかかりません。減量中も筋肉量を落とすことがないよう、高タンパクに調整されているものが多いでしょう。

犬に療法食を与えるときの注意点

犬に療法食を与えるときの注意点

療法食は医薬品ではありませんが、獣医師が治療の一環として使用する特別なドッグフードです。そのため、犬に与える際は取り扱いに十分注意しなければなりません。療法食の正しい扱い方を知り、愛犬の治療のサポートや体調管理に役立てましょう。ここでは、犬に療法食を与える際に最低限知っておくべき4つの注意点について解説します。

獣医師の指導のもと与える

療法食はホームセンターやインターネットでも購入できるため、健康管理の一環で与えたいと 思う方も多いでしょう。しかし、療法食は特定の病気や健康状態に合わせて栄養成分が調整されているため、療法食が必要ない犬に与えると健康被害を起こす可能性があります。

たとえ愛犬に気になる症状があったとしても、自己判断で療法食を選んだり購入したりするのは避け、必ず獣医師の指導のもと使用しましょう。

食べさせ方や継続期間は守る

療法食のなかには、短期治療のため栄養バランスが極端に調整されたものもあります。短期治療用の療法食を長期間与えてしまうと、かえって犬の体に悪影響を及ぼしかねません。

また、食事療法中に他のフードやおやつを与えると、療法食の有用性が弱まってしまうことも考えられます。食事療法を成功させるためにも、獣医師から指示された食べさせ方や継続期間は必ず守るようにしましょう。

時間をかけて切り替える

今までのフードから療法食に切り替える際は、1週間~10日ほど時間をかけましょう。突然フードを切り替えてしまうと、嘔吐や下痢、食欲不振の原因になります。

愛犬の胃腸に負担をかけないためには、今までのフードを1割程度減らし、そのぶん療法食を混ぜて与えるのがおすすめです。混ぜると食べなくなる犬には、別皿に載せて与えても構いません。問題なく食べられたら毎日少しずつ療法食の割合を増やしていきましょう。

定期的に獣医師の診察を受ける

療法食の処方後も、獣医師の診察は定期的に受けましょう。治療状況や犬の様子によっては、療法食を別のものに変更したり、食事療法を終了したりすることがあります。

病気や体質にもよりますが、一度療法食が必要だと診断されたからといって一生涯そのフードを続けなければならないというわけではありません。愛犬の健康状態を把握するためにも、動物病院での健康診断や各種検査は定期的に受けると良いでしょう。

犬が療法食を食べてくれないときの対処法6選

犬が療法食を食べてくれないときの対処法

いざ愛犬に療法食を与えても、食べてくれなかったり残してしまったりすると困ってしまいますよね。警戒心が強い犬や食にこだわりがある犬では、療法食を拒否することも珍しくありません。ここでは、犬が療法食を食べないときの主な対処法を解説します。

温めたりふやかしたりして与える

ぬるま湯でふやかしたり、電子レンジで温めたりすると、香りが立って嗜好性が良くなります。ウェットフードを始め、ドライフードも電子レンジで温められるため、体温くらいの温度に調整しましょう。

なお、療法食を温めた場合は、犬が火傷しないよう与える前に必ず指などで触って熱くなりすぎていないか確認してください。

かつおぶしやおやつで香りを付ける

かつおぶしや出汁、おやつを使って、療法食に香り付けするのも良いでしょう。香り付け用の食べものはお茶パックなどに入れてから療法食の袋に混ぜるのがポイントです。こうすることで療法食の栄養バランスを崩さずに、犬が好きな香りだけ加えられます。

誤って犬に与えてしまわないよう、香り付け用の食べものは与える前に取り除いておきましょう。

ひとくちでも食べたら褒めてあげる

愛犬がひとくちでも療法食を食べたら、大げさに褒めてあげましょう。犬は褒められると大き な喜びを感じるため、続けるうちに療法食を食べてくれるようになるケースも珍しくありません。

「食べてくれなかったらどうしよう」と不安に感じるかもしれませんが、コミュニケーションをしっかり取りつつ、楽しい食事になるよう工夫してみてくださいね。

数回に分けて与える

食欲が落ちている場合は、少しずつ回数を分けて与えましょう。一度に食べられる量が少なくても、そのぶん食事回数を増やせば必要な食事量を満たせます。

犬によっては数回に分けて与えることで食欲が上がる場合もあるため、愛犬の食が進まないときは1日3~5回など可能な限りこまめに与えてみるのがおすすめです。

飼い主の手からあげてみる

不安や甘えで療法食を食べない場合、手で直接与えると食べてくれやすくなります。少量のフードを手のひらに載せて、「美味しいから食べてごらん」など優しく声掛けしながら与えてみましょう。

なお、手から食べるのが習慣化すると自分でフードを食べなくなる場合もあるため、慣れてきたら徐々に手であげる頻度は減らすことが大切です。

獣医師に相談する

愛犬がどうしても療法食を食べてくれないときは、かかりつけの動物病院に相談しましょう。療法食を食べないことで体調を崩したり、食事が嫌いになってしまったりするのは良くありません。

病状にもよりますが、療法食にはさまざまな製品があるため、獣医師に相談することで嗜好性が高いものや別メーカーの療法食に変更してくれる可能性があります。

まとめ

まとめ

犬の療法食は、病気治療のサポートや再発防止の補助、体型管理などに活用できる、特別なドッグフードです。ただし、栄養成分の量や比率が特別に調整されているぶん、間違った与え方をすると体調を崩す恐れがあるため、必ず獣医師の指導のもと与えましょう。

犬用の療法食をお探しなら、ぜひSANIMED(サニメド)をご検討ください。サニメドはヨーロッパを始め、世界中で愛用されている療法食ブランドです。

フードはすべて最新の栄養学に基づいてレシピを組んでおり、安全性が高い原材料を使用しています。人工添加物不使用のため、継続的に与える際も安心です。

まずはお気軽に、かかりつけの動物病院にて「サニメドに興味がある」旨をお伝えください。