犬の体重管理の方法は?押さえておきたい3つのポイントを解説
犬の健康のためには体重管理が大切だと分かっていても、なかなかうまくいかないと悩んでいる方は多いでしょう。犬の体重管理を正しく行うには、いくつかのポイントがあります。
本記事では、犬の体重管理の必要性と方法、体重にかかわる要素や押さえておきたい3つのポイントを解説します。この記事を読めば、体重管理に必要なポイントが良く理解できるでしょう。
「愛犬のダイエットを成功させたい」「どうすれば適正体重を維持できるの?」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
犬の体重管理の必要性
日常的な体重管理は、犬の健康と栄養状態の管理に欠かせません。犬の肥満は糖尿病や心臓病、皮膚病、関節炎、呼吸器疾患など、さまざまな病気を引き起こす可能性があります。また、アメリカ・ネスレリサーチセンターの調査によると「肥満の犬と適正体重の犬とでは寿命に2年近くの差がある」とされていることから、太っている犬ほど短命の傾向があるといえるでしょう。
一方、痩せすぎの犬も免疫力や肝機能の低下、発育不良など、健康面には大きなリスクがあります。犬の体重管理は健康管理の基本です。病気の予防や早期発見につなげるためにも、愛犬の体重は日頃からしっかりと管理しましょう。
犬の理想体重と体型
体重管理を正しく行うには、愛犬の理想体重や体型を知っておくことが大切です。ただし、犬の理想体重は年齢や体質、病気の有無などによって変わるため、愛犬の現在の体型を判断するときは、「ボディ・コンディション・スコア(BCS)」を活用しましょう。
ボディ・コンディション・スコアとは犬猫の脂肪の付き具合を数値化したもので、見た目や触ったときの感覚をもとに、犬の肥満度を5段階でチェックします。
理想的なボディ・コンディション・スコアの段階はBCS3「触れると肋骨が分かり、上から見た際にウエストが適度にくびれている」状態です。判断が難しい場合は、かかりつけの動物病院で確認してもらいましょう。
犬の体重・体型にかかわる7つの要素
犬の体重や体型には、どんな要素がかかわっているのでしょうか?愛犬の体重管理は、飼い主の務めです。愛犬のボディ・コンディション・スコアがBCS3以外だった場合は、以下の7要素に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
食事量
太りすぎ・痩せすぎのほとんどは、食事量が原因です。犬の適正体重を維持するには、食事で摂取するエネルギーと日常生活で消費するエネルギーのバランスを考えなくてはいけません。
つい頻繁におやつを与えてしまったり、欲しがるだけ食事を与えていたりすると、1日に必要なエネルギー量は簡単にオーバーしてしまうため注意しましょう。
食事回数
1日の食事回数が1回と極端に少ない場合、適量の食事でも太りやすくなります。これは、長い空腹状態から一気に満腹状態になることで、インスリンが大量に分泌・脂肪が付きやすくなるのが原因です。
ただし、特に人に関しては、3食分を1食で摂ることはなかなか難しいため、実際には1日1食にすることで1日の食事の総摂取量が減り、痩せる場合もあります。
体格
中型犬・大型犬にくらべると、体が小さい小型犬は食が細い傾向にあります。小型犬は胃袋が小さく神経質な性格の犬が多いため、食事を残したり、偏食癖が付きやすかったりするのが原因です。
特にチワワやヨークシャー・テリアなど運動量が少ない犬種は食が細くなりやすいため、どうしても食べない場合は嗜好性を高める工夫をしてあげましょう。
年齢
歳をとると基礎代謝や運動量が低下し、太りやすくなります。消費エネルギーが少なくなり、これまでと同じ生活をしていても脂肪が付きやすい体になるでしょう。
さらに歳を重ねると消化吸収率が低下し、栄養素の吸収が十分にできなくなるため、反対に痩せやすくなります。運動量の低下によって筋力が落ちると、体重の減少につながります。
季節
私たち人間と同じように、犬も冬太りをすることがあります。寒い季節は脂肪を蓄える必要があるため食欲が増し、そのぶん太りやすくなります。
また、寒いと散歩の時間が短くなり、普段より運動量も減るため、肥満になりやすいといえるでしょう。なお、夏は通常食欲が落ちる季節ですが、涼しい室内にいる犬では夏太りが起こることもあります。
運動量
運動量が多い犬は痩せやすく、運動量が少ない犬は太りやすくなります。運動不足は肥満だけでなく、体力の低下や糖尿病などを引き起こす可能性があるため、放っておいてはいけません。
犬が必要とする運動量は、犬種によって異なります。なかには多くの運動量が必要な犬種もあるため、愛犬に必要な運動量をあらためて確認してみましょう。
避妊・去勢手術の有無
避妊・去勢手術を受けた犬は、そうでない犬にくらべて約2倍太りやすいといわれています。手術後は生殖器の機能を維持するエネルギーが不要になるため、同じ食事量ではカロリーオーバーを起こします。
また、性ホルモンの分泌が減ると食欲が増加し、手術前よりも良く食べるようになるため、結果的に太りやすくなるでしょう。
太りやすい犬種
犬のなかには、遺伝的に太りやすく体重管理がしづらい犬種もいます。特に、ゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバー、コッカー・スパニエル、ブルドッグ、ジャック・ラッセル・テリア、バセットハウンドは肥満に注意しましょう。
また、おおらかな性格で食いしん坊が多いビーグル、ウェルシュ・コーギー、ミニチュア・ダックスフンドや、パグ、ポメラニアンなども太りやすい傾向があります。ビーグルとミニチュア・ダックスフンド、ポメラニアンは体重が増加するホルモン疾患にかかりやすい犬種でもあるため、体重管理を徹底し病気の早期発見に努めましょう。
犬の体重管理の方法3選
愛犬の体重管理は、日々の積み重ねが大切です。犬が健康で毎日元気に過ごすためには、体重は増やしすぎても減らしすぎてもいけません。ここでは、犬の体重管理の方法を3つ紹介します。どれも今日からすぐできるため、ぜひ積極的にチャレンジしてください。
日々の食習慣を見直す
まずは、愛犬に何を・いつ与えているか見直してみましょう。おやつはカロリーが高いものが多いため、あげすぎると肥満の原因になります。
また、人間用の食べものは糖分や脂肪分が多く、犬に与えるのはおすすめできません。愛犬が1日に必要なエネルギー量と給餌量をしっかり計算し、規則正しい食習慣を心がけましょう。
体重管理用フードを与える
去勢・避妊後の食事や肥満の犬には、体重管理用フードを与えましょう。体重管理用のフードは低カロリーで、栄養の吸収スピードに配慮されています。繊維質が多く満腹感を得やすいため、食欲旺盛な犬も満足してくれるでしょう。
減量ではなく現在の体重を維持したい場合は、「インドア」や「室内犬」と表示があるフードなど、愛犬の飼育環境に合ったものを選ぶのがおすすめです。
適度に運動させる
室内飼いの小型犬の場合「散歩は必要ない」といわれることがありますが、適度な運動は犬の健康維持に欠かせません。体の大きさや犬種、年齢に合った運動量をしっかりと満たし、食事から摂取したカロリーを消費しましょう。
なお、肥満度が高い場合はいきなり運動量を増やすと体に負担がかかるため、ゆっくり増やしていくことが大切です。
犬の体重管理で大切な3つのポイント
犬の体重管理を成功させるには、いくつかのポイントがあります。せっかくのダイエットも間違った方法では効率が悪くなり、効果が期待できないかもしれません。ここでは、犬の体重管理を行ううえで押さえておくべき3つのポイントについて解説します。
定期的に体重をはかる
愛犬のダイエット中は、定期的に体重をはかりましょう。こまめに体重をはかれば今の食事量が多すぎたり少なすぎたりしないか確認でき、愛犬にとってちょうど良い食事量を把握できます。
数字を見ることで体重管理の意識も高まるため、2週間に1度~1ヶ月に1度は動物病院や自宅で正確な体重をはかるのがおすすめです。
なお、犬の体重は毎日必ず減っていなくても問題ありません。体重の推移を見るときは、ある程度まとまった期間内でどのくらい変わったかを確認することが大切です。犬によって体重の減り方は差があるため、じっくり気長に取り組みましょう。
無理のないダイエット計画を立てる
犬にとって無理のないダイエット計画を立てることも大切です。早く痩せさせようと無理な計画を立ててしまうと、健康に悪影響を及ぼしたり、リバウンドで前よりも体重が増えてしまったりする可能性も考えられます。
ダイエットが原因で愛犬の体調を崩してしまうことがないように、ダイエット計画は獣医師と相談のうえ決めると良いでしょう。
獣医師の指導のもとで減量を行う場合は、1週間につき1~3%程度の体重減少が理想的です。年齢や持病の有無によっても適切な数値は変わりますが、これ以上の減量は犬にとって負担がかかるため、けっして無理をしないようにしてください。
ダイエットは家族全員で取り組む
同居家族がいる場合は、犬のダイエットについて全員で共通の認識を持ちましょう。「可哀想だから」「いつもあげているから」などと誰かがこっそり食べものを与えてしまうと、ダイエットはうまくいきません。
愛犬のダイエットを始めるときは必ず家族全員でしっかり話し合い、与えて良い食べものやおやつについてルールを決めておくことが大切です。
まとめ
犬の体重管理は、犬が健康で元気に過ごすうえで欠かせないものです。さまざまな病気のリスクを防ぐためにも、ぜひ今日できることから始めましょう。
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