猫の腎臓病の原因とその症状とは?種類や治療法・予防法を解説

猫 腎臓病

腎臓病は猫での発症率がとても高く、けっして珍しい病気ではありません。「急に元気がなくなった」「おしっこの色や量が普段と違う」そんなときは、腎臓病の疑いがあります。

本記事では、猫の腎臓病の原因や種類、治療法や予防、早期発見に必要なポイントについて解説します。猫の腎臓病について詳しく知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。

監修獣医師

高橋 宏実
獣医師・ペット栄養管理士

麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。

猫の腎臓病とは

猫の腎臓病とは

腎臓には、血液をろ過して尿を作り、溜まった老廃物や余分な水分などを体外へ排出する役割があります。

また、血液を作るホルモンを分泌したり、骨を維持するために必要なビタミンDの働きを活性化したりする働きもあります。腎臓病は、なんらかの原因でこれら腎機能に障害が起こり、正常に働かなくなる病気です。

腎臓病には、「急性」と「慢性」の2種類があります。急性腎臓病の場合、症状は急激に進行しますが、適切な治療を早期に行えば回復が見込めます。

一方、慢性腎臓病はゆっくりと進行していき、失われた腎機能は二度と回復しません。初期では自覚症状がほとんどないため、気が付いたときには腎機能が大きく低下しているケースも少なくないでしょう。

いずれも発見に時間がかかるほど重症化し、最終的には命にかかわります。

猫の腎臓病の原因

猫の腎臓病の原因

腎臓病はどんな猫にも起こる可能性がある病気ですが、急性腎臓病と慢性腎臓病では原因が異なります。

ここでは、急性腎臓病と慢性腎臓病の原因をそれぞれ詳しく解説します。

急性腎臓病

急性腎臓病は、脱水、循環器系の異常、細菌やウイルスによる感染症、外傷、中毒などによって起こります。

保冷剤や自動車の不凍液に使用されるエチレングリコールやユリ科の植物の誤食によって、猫が中毒を起こす例は少なくありません。ユリは花自体有害ですが、花粉や花瓶の水を口にするだけでも中毒を起こす可能性があるため、特に注意が必要です。

また、膀胱炎や尿石症がきっかけで急性腎臓病を発症するケースもあります。

慢性腎臓病

慢性腎臓病を引き起こす原因はまだ詳しくわかっていませんが、近年の研究では「猫は血液中に存在するタンパク質AIMの働きが鈍いために、腎機能が低下しやすいのではないか」といわれています。

また、腎臓の異形成や多発性嚢胞腎など腎臓の病気、加齢による腎臓の変化、あまり水を飲まないことや食事内容、体質、ウイルスの影響も示唆されています。

猫の腎臓病の症状

猫の腎臓病の症状

猫が腎臓病になると、さまざまな全身症状が現れます。急性腎臓病か慢性腎臓病かで症状は異なるため、それぞれの特徴を覚えておきましょう。ここでは、腎臓病の主な症状について解説します。

急性腎臓病

急性腎臓病では、下痢、嘔吐、食欲不振、脱水、尿量の低下などがみられます。症状が重いケースでは、突然ぐったりする、痙攣、呼吸が荒い、身体が冷たいなどの様子がみられることもあるでしょう。

急性腎臓病は進行スピードが速く、様子をみているうちに手遅れになってしまう可能性があります。

また、治療が遅れると慢性腎臓病に移行し、腎機能の回復が難しくなる場合もあるため、早期発見・早期治療が重要です。

慢性腎臓病

慢性腎臓病は、進行度によって症状の出方が異なります。

初期段階であるステージ1では、症状はまったくなく、血液検査上でもほとんど異常がみられません。ステージ2でもほとんど症状はみられませんが、水をよく飲み尿量が増える「多飲多尿」の症状が現れることがもあります。

腎機能の低下が進むステージ3では、食欲低下、嘔吐、貧血、口内炎、体重減少などの症状が現れ、ステージ4では痙攣や嘔吐、意識の低下など命にかかわる状態になります。

猫の腎臓病の主な治療法

猫の腎臓病の主な治療法

愛猫が腎臓病と診断された場合、どのような治療が必要なのでしょうか?猫の腎臓病の治療法は、「急性」と「慢性」で異なります。

いずれも進行度によって治療内容は異なりますが、ここでは主な治療法を解説します。

急性腎臓病

急性腎臓病では、投薬や点滴で腎臓を保護します。まずは血液検査やレントゲン、尿検査、超音波検査などで原因を特定し、点滴による脱水改善や尿路閉塞の解除など、原因に応じた治療を選択します。

設備が整っている動物病院であれば、状態が良くなるまでの間、一時的に透析治療や再生医療を行うこともあるでしょう。

急性腎臓病では、早期に適切な治療を行えば腎機能が回復する可能性は十分あるため、なるべく早く動物病院を受診することが大切です。

慢性腎臓病

慢性腎臓病の場合、治療は進行をゆるやかにする目的で行います。高血圧、貧血、リンの高値、カリウム不足など症状に応じて薬やサプリメントを使用し、腎機能の低下を防ぎます。

また、食事はリンやタンパク質、ナトリウムを制限した腎臓病用の療法食に切り替え、脱水が行している場合は点滴で水分や電解質を補うのが基本です。

なお、皮下点滴は通院で治療しますが、動物病院で指導を受ければ自宅でペットオーナーさん自身が行うこともできます。

猫の腎臓病の治療費

猫の腎臓病の治療費

人間と違って、動物には公的な健康保険制度がありません。そのため、治療にかかる費用はすべてペットオーナーさんの自己負担になります。

急性腎臓病では、入院治療が必要になることが多いため、治療費は「入院費+投薬や点滴などの治療費」が必要です。治療内容によっても異なりますが、費用は5~15万円ほどみておくと良いでしょう。

一方、慢性腎臓病は生涯にわたって治療が必要です。通院治療の場合、治療費は毎月数千円から1~2万円程度かかります。透析や再生医療を行うケースでは、さらに高額な治療費がかかる ことも少なくありません。

急性腎臓病にくらべると一回の治療費は抑えられますが、総額でみると慢性腎臓病の治療費のほうが高額になる場合が多いでしょう。

猫の腎臓病の予防法、進行を遅らせる方法

猫の腎臓病の予防法

加齢や体質、感染、中毒など、猫の腎臓病を引き起こす原因はさまざまです。なかには予防が難しいものもありますが、日常生活ではどのようなことに注意すれば良いのでしょうか。

ここでは、猫の腎臓病を予防し、進行を遅らせる方法について解説します。

水分量のコントロール

体内の老廃物をスムーズに排出できるよう、水は常に十分な量を与えましょう。

ただし、水分は摂りすぎても少なすぎてもなりません。猫に与える水分量は体重1㎏あたり50~60ml程度を目安に考え、適切にコントロールしましょう。

なお、缶詰やパウチなどのウェットフードは水分含有量が多いため、水をなかなか飲まない猫におすすめです。

栄養バランスの良い食事を与える

栄養バランスのとれた食事は、腎臓の負担を軽減してくれます。塩分やタンパク質、リンの摂取量には気を配り、過剰摂取にならないよう注意しましょう。

人間の食べものは猫にとって塩分が多いため、欲しがっても与えてはなりません。猫の主食には、「総合栄養食」と記載された栄養バランスの良いキャットフードを選びます。

なお、すでに慢性腎臓病と診断された場合は、獣医師の指示のもと「療法食」を与えましょう。

猫に中毒性があるものは近づけない(急性)

中毒による急性腎臓病を防ぐには、植物や薬、たばこ、殺虫剤など、腎臓にダメージを与えるものに猫を近づけないことが大切です。

猫は高いところにも簡単に登ってしまうため、危険なものは必ず扉付きの引き出しにしまいましょう。室外での中毒を避けるためにも、猫は完全室内飼いで飼育することをおすすめします。

腎臓病につながる病気は早めに治療する(慢性)

尿石症や歯周病は腎臓との関係が深く、放っておくと慢性腎臓病を引き起こす可能性があります。

「たいしたことはないだろう」と治療を後回しにしてしまった結果、気付いたときにはかなり腎機能が低下していることも少なくありません。デンタルケアは毎日行い、腎臓病につながる病気はなるべく早く治療することが大切です。

猫の腎臓病を早期発見する3つのポイント

猫の腎臓病を早期発見する3つのポイント

猫の腎臓病を早めに発見するには、どうすれば良いのでしょうか。特に慢性腎臓病は自覚症状がないまま進行するため、早期発見がなにより大切です。

ここでは、猫の腎臓病を発見するために押さえておきたいポイントを3つに分けて解説します。

日頃の様子をよく観察する

日頃から愛猫の様子をよく観察し、変わったところはないかチェックしましょう。

元気・食欲はあるか、水はどのくらい飲んでいるか、体重は減っていないかなど、チェックすべきポイントは複数あります。元気なときの様子を覚えておくと、いざというときに異変に気付きやすくなるため、腎臓病の早期治療に役立ちます。

おしっこの色や量は常にチェックする

普段の様子に加え、尿の色や量はこまめにチェックしましょう。急性腎臓病の場合、尿がまったく出なくなったり、いつもより量が減ったりします。

一方、慢性腎臓病の猫は必要以上に水分が排出されてしまい、尿は薄く透明に近い色をしています。いずれの場合も腎機能の低下が疑われるため、気付いたときはなるべく早く動物病院を受診しましょう。

定期的に健康診断を受ける

健康診断は、病気の早期発見・早期治療につながります。初期の慢性腎臓病は目立った症状がなく、ペットオーナー飼い主さんが気付いたときにはすでに進行しているケースも少なくありません。

早い段階で発見・治療を行うためには、無症状のうちから定期的に検診を行うことが大切です。愛猫の健康を守るためにも、年に1~2回は動物病院で健康診断を受けましょう。

まとめ

まとめ

腎臓病には「急性」と「慢性」の2種類がありますが、どちらも腎臓へのダメージが大きい病気です。

腎臓病の症状は時間が経つほど進行していくため、早期発見・早期治療が欠かせません。もし愛猫の様子に違和感を覚えたら、できるだけ早めに動物病院を受診しましょう。

サニメドの「猫用リーナル」は、慢性腎臓病の猫に給与する目的で作られた療法食です。腎臓の健康に配慮し、リン、タンパク質、ミネラルの含有量を調整。DHA・EPAを豊富に含むサーモンオイルを配合していますので、食欲が落ちがちな慢性腎臓病を患っている猫の食事として、非常にオススメです。

慢性腎臓病の原因の一つである結石症の栄養管理にも適しているため、購入をご希望の方はかかりつけの動物病院までお問い合わせください。

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動物病院専売 療法食 サニメド

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