猫の糖尿病の症状と原因、治療法や予防法について解説

猫 糖尿病

人間の病気と思いがちな糖尿病ですが、実は猫が発症するケースも珍しくありません。本記事では、猫の糖尿病の主な原因や症状、治療法について解説します。

この記事を読むことで猫の糖尿病について詳しく知ることができ、愛猫の異変に気付きやすくなるでしょう。糖尿病を予防する方法も解説しているため、猫の糖尿病が心配という方はぜひ参考にしてください。

猫の糖尿病とは

猫の糖尿病とは

猫の糖尿病は、血液中のブドウ糖である「血糖」が増えすぎてしまう病気です。血液中には常に一定量のブドウ糖が存在しており、膵臓から分泌されるインスリンによって血糖値が調整されています。このインスリンがなんらかの原因で不足したり、作用が弱まったりすることで慢性的な高血糖を起こした状態を糖尿病といいます。

猫の糖尿病には「1型糖尿病」と「2型糖尿病」の2種類がありますが、猫では2型糖尿病の罹患率が高いといわれています。また、犬に比べて猫は糖尿病になりやすい傾向があるため、普段から意識して生活習慣を整えることが大切です。

猫の糖尿病の主な原因

猫の糖尿病の主な原因

猫の糖尿病には、食事やストレスなどの生活習慣が深く関わっています。特に肥満の猫は糖尿病になりやすいため、注意が必要です。糖尿病の主な原因を知って、糖尿病の予防に努めましょう。

ここでは、猫の糖尿病の主な原因を5つに分けて解説します。

肥満

理想体重の猫に比べて、肥満の猫は4倍も糖尿病になりやすいといわれています。

猫が肥満になるとインスリンの働きが鈍くなり、慢性的に血糖値が高くなることで糖尿病を発症しやすくなります。特に去勢したオス猫は太りやすいため、糖尿病にも注意が必要です。

食事

炭水化物の多い食事は、糖尿病のリスクを高めます。

炭水化物を摂ると血液中の糖は上昇しますが、猫は完全肉食動物のため、上がった血糖値をもとに戻すのが苦手です。にもかかわらず高炭水化物の食事を食べ続けていると、糖尿病を発症するリスクが高まります。

膵炎

膵臓の炎症によってインスリンが通常通り作れなくなると、糖尿病を発症しやすくなります。

膵炎は中高齢の猫によくみられる病気ですが、若い猫で発症するケースもあります。特に肥満の猫や高脂血症 の猫は膵炎の発症リスクも高いため、注意が必要です。

ストレス

ストレスを感じた猫は交感神経が活発になり、ブドウ糖を増やす物質が大量に分泌されます。

その結果、血糖値が上昇し糖尿病になりやすくなります。特に猫はストレスがかかると血糖値がすぐに上がるうえ、なかなか通常の数値に戻らないため、糖尿病を発症する可能性が高いといえるでしょう。

その他の要因

ウイルス感染や腫瘍、ホルモン疾患などによって糖尿病を発症する場合もあります。

なかには、ステロイドの長期使用によってインスリンの効きが悪くなり、結果的に糖尿病を引き起こすケースもあるでしょう。ステロイドには優れた効果がある一方、血糖値を上昇させる作用があるため、長期の使用は慎重に検討する必要があります。

猫の糖尿病の主な症状

猫の糖尿病の主な症状

猫の糖尿病は、初期と末期で症状が大きく異なります。糖尿病は適切な治療を行わなければ徐々に進行していくため、早期治療が大切です。

なるべく早く治療につなげられるよう、末期症状はもちろん、初期症状も覚えておきましょう。

初期症状

猫の糖尿病の場合、初期症状はほとんどありません。進行スピードも遅いため、この時点では気付かないペットオーナーさんも多いでしょう。

症状が進行し血糖値がある程度高くなると、多飲多尿や食欲の増加、体重の減少などがみられるようになります。猫が「よく食べているのに痩せてきた」という場合は糖尿病の可能性があるため、注意しましょう。

末期症状

糖尿病は末期まで進行すると、腎機能障害や白内障、肝疾患などの合併症が現れます。末期の糖尿病では、ふらつきや下痢、嘔吐、食欲不振などの症状が現れ、毛並みも悪くなります。

また、ケトアシドーシスと呼ばれる状態になると神経障害や昏睡、呼吸困難などを引き起こし、 悪化すると命を落とすこともあるため、迅速な処置が必要です。

糖尿病になりやすい猫

糖尿病になりやすい猫

猫の糖尿病は中年期以降で発症しやすいため、10歳前後の猫は特に注意が必要です。なかでも肥満の猫や膵炎の猫、甲状腺機能亢進症などのホルモン疾患を持つ猫は、糖尿病の発症リスクが高い傾向があります。

糖尿病はステロイドによって起こるケースもあるため、皮膚炎や口内炎などの治療でステロイドを長期使用している場合も、注意が必要といえるでしょう。糖尿病はオスメスどちらも罹患する可能性はありますが、メス猫に比べてオス猫の発症リスクが高いとされています。なお、発症しやすい猫種はないとされています。

猫の糖尿病の主な治療法

猫の糖尿病の主な治療法

糖尿病の進行を防ぐには、早期発見・早期治療が大切です。猫の糖尿病の治療法には、主に「インスリン投与」と「食餌療法」、「入院治療」の3つがあります。

ここでは、各治療を行う目的や主な内容について解説します。

インスリン投与

インスリンを皮下注射し、分泌されにくくなったインスリンを補います。インスリンを補うことで血糖値が安定し、糖尿病による症状の改善が期待できるでしょう。インスリン注射は基本的に一生涯行う必要がありますが、猫によっては自らインスリンを作れるまでに回復し、インスリン投与がいらなくなるケースもあります。

なお、猫のインスリン注射は1日2回行うのが基本です。そのため、最終的にはオーナー様自身が投与を行うことになるでしょう。インスリンの投与量は、定期的な検査と猫の状態から都度調整します。

食餌療法

猫の糖尿病治療では、適切な食事管理も重要です。食事を高食物繊維・高タンパク・低炭水化物のものに切り替え、血糖値の上昇をゆるやかにします。肥満の猫の場合は、適切な幅で体重を減らすことも重要です。糖尿病の猫に給餌する目的で作られた療法食を活用すれば、より猫の血糖値を管理しやすくなるでしょう。

食事で血糖値のコントロールができるようになると、インスリンなしで生活できる場合もあります。食事療法中はなるべく間食させず、規則正しい食生活を心がけましょう。

入院治療

ケトアシドーシスと診断された場合は、入院のうえ集中治療を行います。脱水や意識障害などの重篤な状態を改善するには、厳密な点滴治療とインスリンの同時投与が必要です。治療が遅れると手遅れになる可能性があるため、気になる症状があればすぐに動物病院を受診しましょう。

なお糖尿病の入院期間は3~7日程度が多く、回復後は自宅でのインスリン投与に切り替えるのが一般的です。

猫の糖尿病を予防する方法5つ

猫の糖尿病を予防する方法5つ

猫の糖尿病の多くは生活習慣が原因で発症するため、普段の生活環境を見直すことが予防につながります。

ここでは、猫の糖尿病を予防するポイントを解説します。

太らせない

日頃から食事管理を徹底し、太らせないようにしましょう。猫を運動で痩せさせるのは難しいため、肥満予防には食事量の管理が必要です。おやつは1日に必要なカロリーの10%以内にし、摂取カロリーが消費カロリーを上回らないようにしてください。

すでに肥満気味の猫では、無理のないダイエット計画で減量を目指しましょう。ダイエット中は繊維質の多いフードを与えることで、食後の血糖値の上昇を抑えられます。食物繊維を多く含んだフードは満腹感があり、これまでより少ない量でも満足感を得られやすいのが特徴です。

猫によっては食いつきが悪い場合もありますが、減量用フードにはさまざまな種類があるため、猫の嗜好性が高いものを探してみると良いでしょう。

ストレスをかけない

危険やストレスを感じた猫は、血糖値が急激に上がります。猫の糖尿病を予防するためには、血糖値の上げ下げをゆるやかにすることが大切です。

猫が毎日リラックスして過ごせるよう、ストレスになるようなものは取り除いておきましょう。引っ越しや新しい猫を迎えたなど環境の変化があったときは、猫のペースに合わせて接してあげてください。

食事は少量を複数回に分ける

1日の食事回数を増やせば、血糖値の変動は最小限に抑えられます。もともと猫は食事を複数回に分けて食べる習性があり、一度に大量に食べると血糖値が急上昇しやすくなります。

仕事などで日中の給餌が難しい場合は自動給餌器を活用するなど工夫しつつ、食事はなるべく3回以上に分けて与えると良いでしょう。

高タンパク・低炭水化物のフードを与える

猫は完全肉食動物なため、食事は高タンパク・低炭水化物のものが適しています。最近はタンパク質の含有量が多いキャットフードも市販されており、猫の好みに合ったものを見つけやすいでしょう。

特にウェットフードは猫の食性により近い栄養組成で作られているため、上手に活用すれば猫の健康管理がしやすくなります。

定期的に健康診断を受ける

年に1度は動物病院を受診し、なにか異常はないかチェックしましょう。

初期の糖尿病はほとんど症状がなく、ペットオーナーさんが気付く頃には状態がかなり悪くなっていることも少なくありません。尿検査や血液検査を定期的に行うことで、糖尿病の早期発見が期待できます。

まとめ

まとめ

猫の糖尿病はさまざまな原因で発症する病気であり、基本的に一生涯のインスリン投与が必要です。治療はかかりつけの獣医師とよく相談しながら、より良い方法を見つけていくと良いでしょう。

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監修獣医師

高橋 宏実
獣医師・ペット栄養管理士

麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。