猫の下痢の症状は?主な原因や治療法・予防法を解説

猫 下痢

毎日の健康の指標となる猫の便ですが、どのような状態が適切なのでしょうか?一般的には粘土のように粘性があり、猫砂からすっとすくえる程度、が目安になってきます。それよりも緩いと軟便、形のまったくない便は「下痢」となり、注意が必要です。

本記事では、下痢の原因や予防法、いざ愛猫が下痢になったときの対応について解説します。猫の下痢について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

監修獣医師

川本 紗弓
川本 紗弓
獣医師・ペット栄養管理士

日本大学 生物資源科学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務した経験を経て、毎日の食事が犬猫の健康に大きな影響を与えることに気が付き、栄養学の道に進む。専門は犬猫だが、鳥も大好きで、家族のシニアインコを溺愛。

猫の下痢の種類

猫の下痢の種類

下痢とは水分を多く含んだ多量の排便がある状態のことを指し、大腸性の下痢と小腸性の下痢に分類することができます。小腸性の下痢では便の形があるものから水様便まで様々で、頻度は変わらない場合が多いものの、量が増えるのが特徴です。消化された血液が便として排出される黒色のメレナ(タール状の便)や消化・吸収不良の際は白い脂肪便が見られることもあります。

大腸性の下痢ではゼリー様の粘膜を含む軟便であることが多く、頻回になるのが特徴です。小腸、大腸の両方に病変が存在する場合もあります。診断は体重、食欲不振や嘔吐の回数などの状態も考慮して総合的にされますが、便の様子は獣医師の診断の大きな手助けになりますので、写真を撮影するか、もしくは検便をする場合も多いので、可能であれば便を持っていくのもよいでしょう。

猫の下痢の主な原因7つ

猫の下痢の主な原因

食事

食べ過ぎやフードを変更した場合などに、消化・吸収不良を引き起こして下痢になる場合があります。与えているフードの量がその子にとって適量なのか、フードの切り替えをいつ頃行ったか、まずは見直してみるとよいかもしれません。また、特定の原材料にアレルギーがある場合にも、下痢を引き起こす場合があります。

誤飲・誤食

人間の食べ物や食べ物以外のものを誤って食べてしまった、などという時に嘔吐を伴う下痢が発生してしまう可能性があります。人間との生活の中に存在するものの中には猫には毒性となるものが多々あり、例としてはユリ科の植物は猫にとっての毒性が強いことで有名です。腎毒性があり急性腎不全の状態に陥る危険性がありますが、症状のひとつとして、下痢などの消化器症状が見られる場合があります。万が一誤飲や誤食をしてしまったら、すぐに動物病院を受診しましょう。

ストレス

猫は環境の変化にとても過敏な生き物です。引っ越しや部屋の模様替え、移動などのストレスで下痢をしてしまう場合もあります。ストレスと思われることを取り除いてあげても症状が改善しない場合、動物病院で相談しましょう。

ウイルス

ウイルス感染が原因で下痢になってしまう場合があります。その代表的なものであるパルボウイルス感染症は、汎白血球減少症を引き起こし、特に子猫では下痢以外にも嘔吐や循環不全など、致死的な症状を示すことがあります。こちらはワクチンで予防が可能ですので、年に1回(1年目は2回が推奨)必ず主治医に相談のうえ、接種するようにしましょう。その他、猫腸コロナウイルス感染などでも下痢が見られることがあります。

細菌

腸内の細菌叢のバランスが崩れた結果、カンピロバクターやクロストリジウムなどといった細菌が増えて下痢を引き起こすというパターンが多いです。また、鳥などの動物が保有しているサルモネラなどの細菌に感染して下痢になってしまう場合もありますので、生肉を猫に与えないことも重要です。

寄生虫

最もよく見られるもののひとつとして回虫が挙げられます。無症状の場合も多いのですが、子猫の場合は下痢をしてしまうことがあります。また、下痢をしている猫のお尻に米粒のようなものがついているのがしばしば見られますが、これは瓜実条虫という寄生虫です。ノミが媒介するので、ノミ予防をすることが非常に大切です。その他、コクシジウムやジアルジアなど下痢を引き起こす寄生虫は多岐にわたり、治療法は、病状なども加味したものになるのでその時々によって異なります。また、すべてに対してではありませんが定期的な投薬による予防が有効になる寄生虫もいるため、どのお薬が適しているか、一度動物病院で相談してみることもオススメします。

その他疾患

胃腸炎、悪性腫瘍やリンパ腫など、あらゆる疾患で下痢の症状は見られます。これらのなかには重篤なものも含まれますので、慢性的に下痢が続いている場合ははやめに動物病院への相談が必要です。

猫の下痢の予防・対策

猫の下痢の予防・対策

猫の下痢は準備やワクチンで防ぐことができる場合もありますので、ここでは、それらをご紹介します。

フードの切り替えに注意する

フードを新しいものに突然切り替えると消化不良を起こし、下痢に繋がってしまうことがあります。まずは少量ずつ今まで使用していたフードに新しいフードを混ぜ込み、2週間程度かけて徐々に増やして、切り替えていきましょう。

誤食を防ぐ工夫をする

台所にはいれないようにする、人間の食べ物の置き場所を考える、などの工夫が大切です。また、前述もしましたが、植物などは猫にとっては、毒性が強いものもありますので、猫がアクセスできる場所にあるものが猫にとって安全であるか、しっかりと知識をもっておきましょう。

予防接種を忘れずに

定期的な予防接種で防げる病気があります。予防接種は病気にかかることを防ぐ効果もありますが、症状を軽くすることも期待できます。病気にかかってしまうと命に関わる場合もあるので、必ず予防接種は受けるようにしましょう。

愛猫が下痢になってしまったら?

愛猫が下痢

では、いざ愛猫が下痢になってしまったらどうしたらよいでしょうか?基本的には病院を受診することが推奨されますが、猫の場合、動物病院に連れていくことがそもそも難しい場合も多いですので、1回の下痢では受診するか迷う場面も多々ありますよね。

まず、下痢が頻回に続く場合や24時間以上下痢が続いている場合は、必ず受診をするようにしましょう。夜間や診療時間外の緊急受診をすべきかの目安は、以下になります。

  • 嘔吐を伴う下痢
  • 血便がでている
  • ゼリー状の付着物がついている
  • 元気や食欲がなく、ぐったりしている
  • 子猫や老猫である

なお、自己判断で絶食をすることは体調の悪化に繋がる可能性もありますので、避けたほうがよいでしょう。

まとめ

猫 下痢 まとめ

下痢は猫と一緒に暮らしていると、遭遇する頻度は高いもので、一過性の場合も多いです。ただ、原因は多岐にわたりますので、様子を見過ぎず、その時々で主治医の先生と相談しながら対応していきましょう。

猫の食物アレルギーに伴う下痢や消化・吸収をサポートする必要がある場合には、療法食を使用することがあり、サニメドでは「猫用アトピーセンシティブ」をご用意しております。

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猫用アトピーセンシティブ

食物アレルギーによる皮膚疾患および消化器疾患の猫に給与することを目的として、加水分解タンパク質を使用し、EPA/γリノレン酸を配合した食事です。