【獣医師監修】犬の心臓病とは?代表的な疾患や、サインを解説

犬 心臓病

犬の寿命は飼育環境、疾病予防、栄養管理などが改善されたことから、この数十年かけて非常に伸びました。それに伴い、加齢とともに様々な病気が見られるようになり、その中で「心臓病」も注意すべき疾患のひとつです。
本記事では、犬の心臓病の特徴、サインなどについて解説します。犬の心臓病について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

監修獣医師

川本 紗弓
川本 紗弓
獣医師・ペット栄養管理士

日本大学 生物資源科学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務した経験を経て、毎日の食事が犬猫の健康に大きな影響を与えることに気が付き、栄養学の道に進む。専門は犬猫だが、鳥も大好きで、家族のシニアインコを溺愛。

犬の心臓の働きとは?代表的な心臓病は?

犬の心臓の働きとは?代表的な心臓病は?

犬の心臓は我々ヒトと同じく、血液を全身に送り出すポンプとして働いています。心臓は4つの部屋にわかれており、筋肉で構成されています。この筋肉が身体から発生する電気信号により「収縮」と「拡張」を一生涯絶え間なく行うことで、血液を循環させ、全身の臓器に酸素や栄養素を届けています。

この血液循環は通常一方通行で、それを制御しているのが「弁」と呼ばれる構造であり、血液が流れる時に開いて、血液を送り込み、流れ終わると閉じて血液の逆流を防いでいます。
心臓病と一口にいっても様々な種類がありますが、以下が代表的なものとして挙げられます。

  • 先天性の構造異常
  • 不整脈(電気信号の異常)
  • 心筋症(心筋の異常)
  • 弁膜症(弁の異常)
  • 感染症

この中でも弁膜症の一種である「帽弁閉鎖不全症」という疾患は小型犬を中心に発生頻度が高いものになりますので、詳しく解説いたします。

僧帽弁閉鎖不全症とは?

僧帽弁閉鎖不全症とは?

まず、僧帽弁閉鎖不全症とは、その名のとおり「僧帽弁」と呼ばれる心臓の弁に異常が見られる疾患を指します。心臓の4つの部屋のうち、肺からの血液を受け取る左心房から全身に血液を送り出す左心室に血液がしっかりと流れるように、逆流を防ぐ働きをしています。

この弁が完全に閉鎖しないと、血液の一部が左心室から左心房に血液が逆流してしまい、全身に血液を十分に送り出せなくなります。初期は「心雑音」と呼ばれる聴診での異常のみ見られますが、進行していくと心臓が拡大し発咳や失神が見られたり、肺の中に水が貯まる「肺水腫」になって呼吸困難を起こしたりと、命をおびやかすような症状がでてくるケースもあります。

チワワ、シーズー、ポメラニアンなどの中高齢の小型犬で多く発生が認められています。また、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは遺伝性があり若齢時にも発生します。

診断、治療について

診断、治療について

心臓病は聴診、画像検査(レントゲン検査、エコー検査)、心電図、血液検査 などを組み合わせて、診断を進めていきます。

検査を組み合わせる理由としては、単独の検査ではわかることが限られているためです。たとえば、レントゲン検査では心臓の大きさや形、肺の状態などは把握できますが、エコー検査でわかる、弁の異常や血流までは把握することができません。
基本的にどの検査も身体への負担は少ないため、症状に合わせて、主治医とどの検査が必要か、適宜相談してみましょう。

診断後の治療としては、心臓の負担を軽減する内服治療が基本となります。残念ながら投薬で心臓そのものが治るわけではないですが、しっかりとその疾患と時期にあった内服治療を行うことで、病気の進行を遅らせ、寿命を延ばすことができます。

心臓病のサインは?予防のためにできることはある?

心臓病のサインは?予防のためにできることはある?

当てはまったからといって心臓病だと確定するものではないですが、日頃の愛犬の様子をチェックすることはオーナーさんにしかできないとても大切なことになりますので、加齢による影響だと決めつけず、以下のような症状がないか、ぜひ意識してみてください。

  • 疲れやすくなった
  • 寝ている時間が増えた
  • 散歩にいきたがらない
  • 食欲が落ちた
  • 咳をするようになった

心臓病の予防としては、なによりも早期発見が大切であるため、定期的な健康診断の受診がとても大切になってきます。特に7歳以上の高齢犬では半年に1度の健診受診が推奨されており、定期的に受けることで小さな変化に気づくことができ、症状が現れる前から早期治療を始めることができます。

また、フィラリア(寄生虫)症の予防は必ず行うようにしましょう。フィラリアは心臓に寄生し、血液循環を悪化させ、心不全を引き起こす可能性があります。

さらに、肥満や高血圧も心臓病のリスク因子になります。定期的に体重チェックを行い、適正体重を保てているか確認し、体重管理を行っていきましょう。

まとめ

まとめ

愛犬が心臓病だと診断されると非常に不安になりますが、適切な時期に治療を開始することができれば、何年も快適に生きるケースもあります。健診などオーナーさんができることを行い、早期発見を心がけていきましょう。

オーナーさんができる予防の一つとして体重管理を前述しましたが、ダイエットが必要な犬では食事療法が有効な場合があります。

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